ただ、筆者が旅を通じて感じたことです…。お時間があれば。
暑いけどあたたかい
タイは、本当に本当に暑かったです。
普段から常夏のシンガポールに住んでおり暑さには慣れている筆者でも、滞在中何回か「あ、これはやばい、朦朧としてきた」というくらいまでになりました。なんというか、太陽の照りの強さと湿度と車の排気ガスが相まって、昼間の炎天下の中歩き続けるとふわふわしてきてしまうのです。旅の最中は景色をのんびり見ながら散歩するのが大きな楽しみですが、バンコクでは気をつけないといつの間にか仏様になってしまいます。
(でも、ギリギリまで茹で上がったあとに飲むタイ名物「チャンビール」は最高に美味しかったです…)
それはそうと、筆者は都会が苦手な故に、たいていその国の首都というところが好きになれない曲がった人間なんですが、今回のバンコクはそれはそれは楽しく満喫できました。
なぜか。多分理由は、人が多くても、車が多くても、バンコクという街の隙間にノスタルジアが溢れているからだと思います。「ノスタルジア」は、元はギリシャ語由来のフランス語の言葉であり、日本語では「郷愁」や「懐旧」などと訳されます。皆さんはノスタルジアにどのようなイメージを持っているでしょうか。
さて、筆者にとってのノスタルジアは、①街に暖かい色がある、②街角で誰かがのんびり世間話してる、③歩いていると美味しい匂いがする、というところです(ただの食いしん坊の田舎娘とは言わないでください)。
いくら都会が便利で効率が良くてキラキラ新しいものがあっても、筆者の場合、ノスタルジアがないところにいると顔も心も引き攣ってきてしまうんです。でも、バンコクは、筆者のただでさえプニプニの顔をさらに緩めてくれる、暖かな色のいい匂いの街でした。
悠々とチャオプラヤー川が流れ、のほほんとした優しいお顔の仏様が笑い、慌てず朗らかな笑顔で生活する街の人々がいる。そしてなにより世界一おいしいタイ料理がある。うんうん…いい街でした。日本人にタイラバーが多いのもうなづけます。
ところで、先ほど「ノスタルジアはギリシャ語由来」と書きましたが、実は元々はスイスのバーゼル大学の医学者が名付けた医学用語で、ギリシャ語の「nostos(帰郷)」と「algos(苦痛)」を組み合わせた造語のようです。住みなれた故郷から切り離された苦しみが原因で発症する発熱や不安状態のことを「nostalgia」と名付けたそうで、それが現在、近代化の波に飲まれてやむなく故郷を離れて暮らす人々の心にマッチし、よく使われるようになったとか。
しかし筆者の場合は、自分から意気揚々と海外に出てきて、世界を旅しながらノスタルジアを探している。つまり感傷的なムードが大好きなだけですね。ちょっと我ながら滑稽に思いました。へらへら。
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