照りつける太陽の光。古いアメ車の排気ガスの匂い。人々の笑い声と漏れ聞こえるラテン音楽。あなたが探しているものはここにあるかもしれません。今回は地球の裏側、キューバの首都であるハバナをご案内します。
基本情報
日本との時差
ハバナと日本の時差は-13時間。日本からのフライト時間は、メキシコ経由で20時間ほど。
気候
熱帯性気候。ハバナの年間平均気温は25.5℃で、年間を通して温かい。赤道に近く、街には高い建物がほとんどないため昼間の日差しはかなり強い。冬場でも、朝夕は涼しいものの昼間には30℃以上に上る。乾季は11月〜4月、雨季は5月〜10月。雨季のスコールは道が歩けなくなるほど激しいため、ハバナ民は傘を持たず、スコールが始まると皆一斉に近くの屋根へ逃げ込む。朝からスコールが始まった日は学校もビーチ行きのバスも休み。
言語
スペイン語。ハバナ中心街では片言の英語を話す人もいるが、基本的に皆スペイン語しか話さない。空港のスタッフでも英語が通じないことがある。スペイン語が話せない人は、Google翻訳のスペイン語をあらかじめダウンロードしておこう。
*Google翻訳は事前にダウンロードしておけばオフラインでも使用することができるので非常に便利。
ビザ
キューバへ行くには、在東京キューバ大使館でツーリストカードを購入する必要がある。直接大使館へ出向く場合は即日受け取ることができるが、郵送の場合は約3週間かかるため、余裕を持って申請しなければならない。また、旅行代理店などの代行業者を利用することも可能。
在日キューバ大使館への問い合わせはこちらから。
通貨・物価
通貨:CUP(キューバ・ペソ)。2024年3月現在、1CUP=6JPY。2020年までは外国人観光客向けの兌換ペソ「CUC」と現地通貨「CUP」の二重通貨制だったが、2021年1月からCUPに一本化された。
また、キューバの通貨はCUPだが、市内には米ドルで支払い可能の店も多い。空港から乗るタクシーに関しては米ドルでしか支払えない場合もあるため、まずは米ドルを用意してから徐々にCUPに両替していくのがいいだろう。
さらに注意すべき点は、キューバには公式為替レートと路上為替レート(闇レート)が存在する点である。空港や銀行で米ドルからCUPに両替する場合は1USD=24CUPであるのに対し、路上での闇レートは1USD=300CUP前後である。
*闇レートの情報はこちらから入手。
物価: 先述したようにそもそも為替が公式レートと闇レートで甚だしく違うため、正確な物価を記載するのは難しい。ただ、公式レートで両替した場合、ハバナの物価はかなり高いものになる。2022年5月に筆者が滞在した際は、日本で円→米ドル、ハバナの空港で米ドル→CUPの流れで両替した場合、ランチ(ワンプレートとジュース)だけでお会計は4000円ほどした。ただし、現地人が食べているピザやパンなどの軽食は、数百円〜千円と日本と同じ価格であった。
治安
中南米の中ではかなり良好。銃の持ち込みは禁止されており、強盗などの凶悪犯罪もごく稀。夜間でも出歩くことができる。
ただし、ハバナを観光する際には注意すべき点がいくつかある。なぜなら、ハバナには現地人の間で共有されているお金儲けの文化が存在するからである。まず、ハバナ中心地を歩いているとほぼ必ず陽気な現地人が話しかけてくる。そしてそのままおすすめのバーやレストランに連れて行ってくれるのだが、そういう時は大体店ぐるみで通常の何倍もの値段を請求してくる。また、一緒に飲んだり食べたりしたお会計は当たり前のように全て払わされる。また、街をガイドすると言われて着いていくと、最後にガイド料を請求されることも多いので注意が必要。しかし、ハバナ名物だと思って、お金を払って一緒にしゃべってみるのも一つの手。超がつくほど話好きのハバナ民と話すのは、思い出になり、案外楽しい。また、時々政府公認の街ガイドもおり、その場合は何も請求されない。公認ガイドは大体首からカードを下げている。
加えて、路上でのお金の両替には十分注意が必要。先述したとおり、ハバナでは公式為替レートと闇レートが存在しており、路上でお金を換えたほうが大抵割りがいい。しかし路上でお金を換える場合は、必ずその場で現金を交換しなければならない。先にお金を渡すと、その場で待っているように言われてそのまま相手が帰ってこないことがある。銀行や空港で両替をすれば、レートをぼられたり盗まれたりすることはないが、そもそものレートがかなり悪い。一方路上で取引をする場合、為替はいいがリスクが大きい。ハバナでお金を換えるということは他の国のそれとは異なり、単純なことではないのである。
また、ハバナではお金儲けの決まり文句がある。それは、「ブエナビスタ、ソシアルクラブ」と「シガーハーフプライス」である。一つ目の決まり文句である「ブエナビスタソシアルクラブ」とは、言わずもがなキューバ人が誇る有名なバンドの名前だが、今日はそのバンドがクラブに特別に演奏しにくる日だ、と言ってクラブのチケットを買わせようというものである。もちろんバンドメンバーは来ない。二つ目の「シガーハーフプライス」は、今日は特別にキューバの高級ブランド葉巻が半額で買える、という呼びかけだ。一度興味を示すと家の奥まで連れて行かれ、それらしい箱に入った葉巻を見せられるが、これらは大抵偽物である。このようなお金儲けのための決まり文句が毎日使われているため、初日に騙されてしまう観光客も多数。注意が必要である。
*外務省によると、2024年現在アメリカからの経済制裁による長引くモノ不足や、新型コロナウイルス感染拡大に伴う社会活動の停滞などから、治安は悪化している模様。
紹介された葉巻。
交通手段
市内の交通手段には、バス、タクシー、自転車タクシーがある。バスは、ハバナ中心地から数十分離れたビーチに行く時に乗るのがおすすめ。ビーチ行きのバス停はParque Central にあるが、雨でバスが運行しないときもあるので、近くにいる現地人やホテルのスタッフに確認したほうがいい。行きのバス内でスタッフからチケットを購入し、帰りもそのチケットを提示すれば乗車できる。
タクシーは、普通のタクシーとアメリカ産クラッシックカーがある。アメリカ産クラッシックカーは割高。どちらも値段は乗る前に交渉となる。また、自転車タクシーは、近場にふらっと行きたい時や、ハバナの景色を味わいながら移動したい人におすすめ。もちろん車のタクシーより安い。こちらも乗る前に値段を交渉する。
また、車のタクシーでも自転車のタクシーでもいくつかのハバナ周遊プランが用意されており、街はそれらの客引きで溢れている。しかしぼったくり価格ではないので、街全体の雰囲気をドライブしながら楽しみたい人や、主要観光地を効率よく周りたい人にはなかなかいいプランだ。
プラグ・電圧
キューバのプラグはAタイプとBタイプ。Aタイプなら日本のコンセントをそのまま使用することができるが、Bタイプなら変換プラグが必要。
電圧は110V-220V、周波数は60Hz。日本の電化製品をそのまま使うことはできないため、海外対応のものを持っていくか、変圧器が必要。
インターネット
ハバナのネット環境はあまり整っていない。WIFIが使える場所は一部の高級ホテルと公園のみで、SIMカードもキューバの電話会社が発行しているものしか利用できないため、注意が必要である。
場所を問わずインターネットを利用したい場合は、キューバ市内でWiFiカードを購入するか、キューバの観光客用SIMカードを購入しよう。WiFiカードは、「ETECSA」というキューバの電話会社のオフィスで購入できる。1時間用カードと5時間用カードが売られており、WiFiの合計使用時間が過ぎれば使えなくなる。必要な時だけWiFiをオンにして利用しよう。
観光客用SIMカードは、事前に以下のウェブサイトで購入すれば、空港またはETECSAで受け取ることができる。
・Cuba calls
・Suena Cuba
・RecargasACuba
観光地
La Habana Vieja(旧市街)
①Parque central(中央公園)
Parque central は、旧市街の中心に位置する大きい広場。広場の真ん中にはホセマルティの像があり、周りには西洋風の有名ホテルや劇場ホールなど、美しい建物が立ち並んでいる。ベンチに座ってハバナの風景をのんびり眺めるだけでも幸せなひととき。(しかし座っていると必ずといっていいほどおしゃべり大好きハバナ民が話しかけてくる)
中央公園からの眺め。
②Obispo(オビスポ通り)
Parque centralから東に向かって1キロほど続く、石畳の遊歩道。お土産屋や、アイスクリーム屋、レストラン、本屋などが立ち並ぶ賑やかな通り。有名どころは、作家ヘミングウェイがよく宿泊していた「ホテル・アンボス・ムンドス」や、ヘミングウェイゆかりの老舗バー&レストラン、「El Floridita」がある。どこからともなく聞こえる陽気な音楽を聴きながら、散策を楽しもう。
ホテル・アンボス・ムンドス。
夜はダンスをする人で溢れかえる。
③Museo de la Revolución(革命博物館)
キューバ革命に関する資料が展示してある博物館。ここは革命以前までは大統領官邸として使われていた建物であり、ゲバラやフィデル、カミーロなどの写真や革命に関する資料を見ながら、キューバの歴史の変遷を辿ることができる。ただし、数年にわたり修復工事を行なっており、2024年3月現在も臨時休業中の模様。
⑥Plaza de la Catedral(カテドラル広場)
ハバナ旧市街にある広場。中世のヨーロッパ建築の雰囲気を感じさせるハバナ大聖堂がメインの見どころ。カフェやレストランも多く、ひと休憩にもってこいの場所。
⑦Plaza vieja
こちらも旧市街の有名な広場で、カテドラル広場から南に10分ほど歩いたところに位置する。カラフルな建物のレストランやカフェで、音楽を聴きながらゆっくり過ごそう。
広場のカフェで雨宿り。
コクがあって美味しい。
⑧Callejon de Hamel
ここは、旧市街の一角にあるアートストリート。敷地こそ広くはないものの、様々なウォールアートや作品が溢れており、アフリカ系キューバの文化を堪能することができる。旧市街を散歩する際にはぜひ立ち寄りたいユニークな場所だ。毎週日曜日の昼にはルンバのイベントも行われている。
⑧Malecón(マレコン通り)
マレコン通りは新市街から旧市街へ続く海岸沿いの道。昼間は釣りや飛び込みをする少年が集まり(飛び込みは本来禁止のようだが)、夕方はサンセットを見にカップルや観光客が集まる。遠くまで続く真っ青な海と青空、そして通りを行き交うクラッシックカーを眺められるこの場所は、いわばハバナの代名詞だ。
⑨Castillo del Morro(モロ要塞)
ハバナ湾やスペイン艦隊防衛のために作られたモロ要塞には、旧市街から海底トンネルを潜っていくことができる。幾度も海賊や敵国の襲撃からハバナを守ったこの要塞は、「カリブ海最強の砦」と言われている。この要塞は世界遺産「ハバナ旧市街とその要塞群要塞」の一部として登録されており、内部は博物館になっている。要塞から見るハバナの景色は絶景。ちなみにここは韓国ドラマ「ボーイフレンド」のロケ地である。
La Habana Nueva(新市街)
①Plaza de la revolución (革命広場)
アメリカの傀儡政権を武力によって制圧し社会主義国家を作り上げたフィデル・カストロ。彼が国民に向けてスピーチを行った場所として有名なのが、この革命広場だ。この広大な広場で、時に数十万人の聴衆を前にフィデルは5、6時間も演説を行ったという。一見だたのコンクリートの広場だが、その上に実際に立つと、当時の熱気が地面から伝わってくるような気がする。
周辺の内務省のビル壁面にはフィデルとともに革命に従事したアルゼンチン人チェ・ゲバラの肖像が見られる。肖像の右下には”Hasta la victoria siempre(常に勝利に向かえ)”というメッセージが書かれている。
内務省ビルに並ぶ情報通信省のビルには、同じく革命家のカミロ・シエンフエゴスの肖像が掲げられている。彼もカストロ、ゲバラとともに革命に大きく貢献したものの、自身は共産主義者ではなく無政府主義者であった。しかし、ゲバラは彼を敬愛しており、自身の息子を「カミロ」と名付けるほどだったという。また、フィデルとカミロも強い信頼関係で結ばれており、ある時フィデルはカミロに”¿Voy bien, Camilo?(カミロ、自分はうまくやっているだろうか。”と聞いたという。カミロの肖像には、その時のカミロの返答である”Vas bien fidel(君はよくやっているよ、フィデル)”というメッセージが記されている。
熱き三人の革命家の息を感じる、革命のアイコニック的な場所だ。
カミロ・シエンフエゴスの壁画。
ビーチ
①Varadero(バラデロ)
ハバナといえば、カリブ海のターコイズブルーのビーチ。そしてハバナのビーチといえば、バラデロビーチだろう。細かい白砂と透明度の高い輝く海が、約28kmに渡って続く。ハバナからはバスで3時間前後。周辺にはレストランやホテルもあり、ホテルに宿泊する場合は食事とプライベートビーチが楽しめるインクルーシブプランがある。
②Playa Santa Maria del Mar(サンタマリアビーチ)
ハバナからもう少し近場でビーチを楽しみたい人は、サンタマリアビーチがおすすめ。ここは、ハバナからバスで30分前後で行くことができて、日帰りでも十分ゆっくり楽しめる。地元のハバナ民の家族連れやカップルに混じって、美しい海を堪能しよう。パラソルと椅子もレンタルできる。
サンタマリアビーチ。
ロブスターとモヒート。
まとめ
日本から遠いので、少し旅のハードルも高いかもしれませんが、その分旅の間に感じるものもひとしお違います。日本とは全く異なる文化、街並み、風景。普段の生活からふと距離を置きたくなったら、思い切って地球の裏側まで行ってみませんか。
あぁ、またハバナに戻りたい、、、
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